魚の棚広報誌 うおんたな7号
明石では日常的なおやつ、軽食として食されてきた「明石焼(玉子焼)」も、今やすっかり明石名物のひとつとなりました。魚の棚商店街には今年の春までに5軒の明石焼(玉子焼)店がありましたが、この夏さらに3店が誕生しました。強豪店がしのぎを削る魚の棚に参戦した新店と、魚の棚の明石焼の歴史をご紹介します。
明石焼or玉子焼なんで2つも呼び名があるのん?
丸くてふわふわ、美しいちりめん模様に焼き上げた中に、具はタコのみというシンプルなあの味。地元の人たちの間では「玉子焼」の名に愛着を感じる人が多いですが、市外では「玉子焼」という呼び方は、卵を塩や砂糖で調味して四角いフライパンで焼く「卵焼」と混同されやすく、「明石焼」という呼び名の方が伝わりやすいようです。この呼び方はいつ、どこで始まったか定かでありませんが、大阪のたこ焼きと似て非なる明石独特の「玉子焼」を、他所の地域の人が呼び始めたものではないでしょうか。地元では変わらず「玉子焼」で通っていたところ、昭和62年に明石市の職員が「玉子焼を明石の名物”明石焼“としてもっとアピールしよう」と提案したことから、お店でも「明石焼」と名乗るところが増えました。
どこが旨いかって?自分の舌で確かめるのが一番!
明石の明石焼の発祥は古く、はっきりとはわかっていないのですが、”タコを入れる“というアイディアは大正時代に樽屋町あたりで玉子焼屋台を始めた向井清太郎氏の考案と言われています。この「向井流玉子焼」の流れを汲んでいるのが、19年前に東仲ノ町から魚の棚商店街に移転した「よこ井」。今では熱いつけだしを添える店が多い中、「だしは本来、焼きたての明石焼を冷ますためだけのもの」と薄味の冷たいだしを添えるスタイルを通しています。
現在ある明石焼店のなかで、魚の棚商店街での営業開始が最も早かったのは「よし川」。創業40年を迎えた老舗だけに「明石焼といえばこの味」という馴染み客も多く、代は替わってもそのおいしさは健在です。
以後もいくつかの明石焼専門店が開店しては閉店、移転をするなか、それぞれに個性を出してしっかりとファンを獲得してきたのが「あかまつ」「たこ磯」「とり居」です。以上5軒については中面で紹介していますので、新しい3軒と合わせて食べ歩きを楽しんでみてくださいね!
食べ比べ大歓迎!
同じ明石焼でも、各店によってだしや焼き油など味はさまざま。各店の紹介に添えた「明石焼memo」を参考に、それぞれの個性を楽しんで食べ比べてみてください。テイクアウトは全店OKです。
※以下の資料を参考にさせていただきました。
熊谷真菜「たこやき 大阪初おいしい粉物大研究」講談社文庫・小野政種「たこ焼きのルーツは玉子焼『向井流玉子焼』秘伝探求」冊子
明石焼・玉子焼店 New Open
楽々
TEL (078)912-4566
11:00~18:00
火曜定休
(祝日の場合は営業)
明石焼memo
1人前(大玉10個500円)
つけ出汁/真昆布(温)
薬 味/三つ葉
焼き油/サラダ油
板 /朱塗り
タコ天やおにぎり、浜の味を大玉の明石焼と一緒に。 明石焼店の経験がある田中さんが、明石浦の漁師家庭の主婦・若松さんと二人三脚で新たに始めた店。明石焼は大玉で、とろーっと口の中にとろけるようなやわらかな生地が特徴。具のタコも大きく、毎日店内のキッチンでゆで上げているので、新鮮で旨味たっぷりだ。また、カリッカリの衣がビールのあてにぴったりのタコ天や、タコ飯・鯛飯で作ったおにぎりなど、明石焼とともに明石の「浜の味」を堪能できるのがうれしいところ
店主・田中夏子さん
先々代から戦後、履物屋「つるや」として長く営業してきましたが、今回、明石焼の店として再スタートを切りました。味では負けないつもりですから、どうぞ他店と食べ比べてみてください。明石焼を家族みんなで分け合って、大人はタコ天とビール、子どもはソフトクリームと、ワイワイ楽しんでください!
間口は狭いが入るとカウンターとテーブル計29席がある
あかし多幸
TEL (078)911-2241
11:00~19:00
木曜定休
明石焼memo
1人前(15個)600円
つけ出汁/天然利尻昆布、カツオ(温)
薬味/三つ葉
焼き油/オリーブ油
板/朱塗り
その他/醤油、一味、抹茶塩
明石焼と鯛茶漬を2人で半分ずつ、なんて食べ方もOK。
戦前は鮮魚店、戦後は果物店として魚の棚商店街で代々商売を営んできた「カネト」が、屋号も「あかし多幸」として、新しい業種に挑戦。モダンな和のくつろげる雰囲気で、明石焼、鯛茶漬、たい焼が味わえる。明石焼は焼き油にオリーブオイルを使用している点が珍しく、ヘルシーで、冷めてもあっさりした味わいが保たれるのが特徴。「鯛茶漬」は、たれに漬け込んだ鯛のしっとりとした食感、凝縮された旨味が秀逸(1日10食限定)!
店主・安原宏樹さんと長男の陽那太(ひなた)くん
せっかくの立地を活かしたくて、思い切って業種替えしました。明石といえば鯛なのに、手軽においしく鯛を味わえる店がなかったから、自分ならこんな鯛料理が食べたいというのを形にしたのが「鯛茶漬」です。明石焼には明石だこと天然利尻昆布、たい焼のあんには十勝産の小豆と、すべて食材からこだわってますよ。
鯛茶漬け1200円。
柚子胡椒やすりごまで香りも楽しんで
魚の棚の大通りが交差する角にある。 店内は24席
かねひで
TEL (078)912-2194
10:30~18:00
木曜定休TEL (078)912-2194
10:30~18:00
木曜定休
明石焼memo
1人前(15個)600円
つけ出汁/天然羅臼昆布(温)
薬 味/青ねぎと三つ葉
焼き油/サラダ油
板 /無垢板
その他/ソースあり
早くもリピーターぞくぞく。女将さんの心意気に期待!
先代から50年以上持ち帰り専門の天ぷら店だった「かねひで食品」が、ゆったりした飲食スペースのある明石焼店としてオープンした。明石焼のレシピは全くの白紙からのスタートだったが、店主自らが好きな「今中」の味をイメージして試行錯誤を繰り返し、オリジナルの配合を作り上げたという。つけ出汁には天然の羅臼昆布のみ、生地にはサバ節のだしを加えてコクを出している。ほかに干しダコを使ったタコ飯、タコぶつなど。
店主・中村日佐子さんと長女の千純(ちすみ)さん
3坪の小さな店でしたが、建て替えを機に奥までの広いスペースを借りることになりました。以前から販売している自家製いかなごのくぎ煮にファンが多く、「店を無くさないで」というお客さんの声や「明石焼やってみたら」という83歳の母(先代)の言葉にも背中を押されて、思い切って挑戦しました。
気前よく盛られる、タコぶつ450円
テーブルのみ22席。
車いすやベビーカーも大丈夫
大好評の座談会シリーズ、今回は明石焼(玉子焼)好きを自認する皆さんに集まっていただきました。子どもの頃の思い出の味、新しい楽しみ方のアイディアや、魚の棚への要望も飛び出して、なかなか熱いトークとなりました!尚、明記している部分以外は、魚の棚の店に限らず明石一帯の明石焼やその店についてという前提での話です。
思い出の味・・・6個10円の“玉焼き”や黄金色の“上焼き”
(う) 早速ですが皆さん、初めて食べた玉子焼ってどうでした?
(吉) 大明石町に卸売(青果)市場があったころ、小学校に上がる前にそこで食べた玉子焼が初めてだったと思います。39歳のころに「玉子焼マップ」を作ろうと思い、明石市内にある86~87軒を全部食べ歩きしようと1日3軒回っていたことがあるんです。途中で店が潰れたり増えたりするもんで収集つかなくなって、結局は60数軒ほど回ったところで断念、玉子焼マップは幻となったんですが…。まあ、そんなわけで玉子焼、大好きです。
(う) いきなり強者が登場ですね!
(大) 私は神戸の北区出身なので、両親のおみやげで食べたのが初めてのだったと思います。大阪のたこ焼きよりは明石焼の方が好き、という程度でしたけど、今年の3月に明石勤務になってからミーハー精神で友達と「食べ歩きしてみよう」と回ってみました。でも1日3軒でお腹いっぱい、ギブアップ! これまでに行ったのは23軒です。
(滝) 僕は小学校1年ぐらいのとき、明石公園の中部幾次郎の銅像の前でやってるおばさんの屋台で食べたのが最初。昭和38~40年かな、当時6個10円で、だしはつけずにそのままで食べてたな。そのころはみんな「玉焼き」と呼んでました。タコが入っているのは大人の食べもんで、子どもが自分の小遣いで買うのはタコの代わりにこんにゃくが入ったやつ。駄菓子感覚でしたね。
(越) 子どものころ遊んで家に帰ると、おばあちゃんやお母さんが魚の棚の近くで買ってきてくれました。平べったくて、寿司を包む笹みたいなんに入って、緑色の紙に包んであったな。今より塩味が効いてて、だしは付けずに食べてたと思います。
(滝)昔は上焼き、というのがあったね。卵は普通1個なんやけど、上焼きは2個入れる。卵が多いとこわっとする(固めになる)んです。
(吉) 卵が多いと焦げやすくなるので焼くときに油が多くなるんですよね。カリッとするんやけど、ちょっと油っこくもなるね。
(滝) 僕らがガキの時分は卵が貴重品やから、上焼きを食べると「わあ!上焼き食べれた~!」というありがたみあった。
思い出の味・・・自分で食べ比べるのが明石焼の醍醐味!
(う) 吉川さん、食べ歩いてみると店によってやっぱり違うもんですか?
(吉) まず台が違いますよね。赤い塗りの台と、杉板の台、中にはステンレスなんていうのもありますよ。杉板にすると余計な油分を吸ってくれる。塗りは色がきれい。玉子焼のルーツに「明石玉(模造珊瑚)」がありますが、あの赤い塗りの色はその明石玉のイメージから来てるんちゃうかな、と僕は思ってるんですよ。味も山の手と海の手で全然違う。山の手(国道より北ぐらい)はあっさりしていて、海の手は塩けが多くて、やわらかいんです。海の方は労働で汗をかくから塩気が多いんかな。
(う) 大月さんはどうでした?
(大) 楽しかったですね!店によって全然味が違うし、自分でランキングつけたりして、ゲーム感覚で楽しめますよね。だしも、玉子焼も違うし、接客とか店の雰囲気もある。私の場合は玉子焼の卵の部分が一番のポイントやと思いました。
(う) 実は魚の棚で商売していて困るのが、お客さんの「明石焼どこがおいしいのん?」という質問。何をポイントに味わうかによって感じ方は違ってくるから「実際食べ比べてもらうのがいいですよ」て言うんですけどね、観光バスで来てる人はそうもいかへんし。
(滝) 玉子と粉とだし、焼く油。素朴なだけに難しいねんよね。食べる人の口によるからね。
(越) シンプルなのになんであんなに味が違うのか、不思議ですよね。
(吉) 僕は何回か、食べ比べ大会をやったことがあるんですよ。知ってるお店5軒ぐらいに「何時何分に行く」と言って、車で取りに行くんです。集めたらそれを、店名わからんようにして数人で食べ比べするんです。面白いですよ、どれがおいしいって、けっこうはっきり結果が出ます。
(う) その場で食べるのと、持って帰って食べるのとまた違いますよね。アツアツでおいしい店とか、持ち帰りでおいしい店とかも出てくるんちゃいますか。
(吉) ウンまあ、それはそれで。そやから、遊びでね。
(う) 明石ならではの遊びですよね。
そのまま派?ソース派?だしはおかわりしよう!
(う) それぞれ、これが自分のベストという食べ方は?
(滝) 最初の半分はそのままだしで、次はソース塗ったやつをだしにつける。それが明石っ子の食べ方やで!
(う) 2回楽しめる言うことやね。やってみたけど僕はそれ、あんまりやったなあ。
(吉) ソースつけるというのは、お好み焼きも玉子焼もやってる店で誰かが始めたんでしょうね。今は玉子焼専門店でもソース置いてるとこあるから、それはOKいうことなんちゃう?
僕はね、最初は熱いからだしの中に崩して、ズルズルっと。だしが汚れるから交換してもらって、次はソースをちょんちょん、一味をぱらり。最後の3つはまたそのままで食べる。アクセント効かせて、起承転結でね! 明石焼って、この列は私、この列は私っていう感じで分けられるでしょう。焼き上がった一枚ごとにアツアツを分けて、また次の一枚を分けて。それが美しくていいよね。
(越) 僕はシンプルにそのまま食べてて、途中でソースつけたり一味や薬味を入れて味を変えて、最後はもう1回普通に戻して楽しみます。
(大) 私はソースつけてみようかなあっていつも思うんですけど、だしが汚れるのがいやで、いつもつける勇気が出ないんですよねー。
(吉) だしは3回ぐらいおかわりしたらいいんですよ!
(大) ええーそうなんですか。だしを使い切ったらもう終わりかと思ってました。どこでもそうですか?嫌な顔とかされないかなあ。
(滝) ううーん、中にはあるかもね。嫌な顔されたらもう行きたくないよね。
(吉) いや逆に、それでいい店か悪い店か、判断したらええんちゃう?
明石焼と名乗るからには明石のタコを使ってる店がいい
(吉) おいしい店はやっぱり、タコがおいしいんやね。生のタコ冷凍してて、使う時にゆでてるとこはおいしい。ゆでダコを冷凍してるとこはもう、味も香りもないねん。中には外国産のタコを使ってるとこあるでしょう。食べたらわかるんやけどね。
(滝) 明石焼というからには前のタコを使ってほしいよね。それに、大きければいいっていうもんでもない。そやけど大阪のたこ焼きを食べ慣れてる人から見たら、タコしか入ってへん明石焼はシンプル過ぎてつまらん、損した気分ということもあるみたいやね。
(吉) ほんでね、大阪で明石焼食べようと思ったら高いでしょ!ちょっとの量で800円とか。あんなん大阪の人からしたら「こんな高いのんアホらしいわ」ってことになるんやろうな。
(大) 明石以外で食べるのと、明石で食べるのと、全然味が違いますよね!
(吉) 東京とか、海外からお客さん来たときに玉子焼屋に連れて行ったらね、ものすごい喜ぶよ。1000円以下であんなに喜んでもらえるなんて、コストパフォーマンス最高!
(う) やっぱりここらは昔からタコの産地やから、タコの味を活かすという意味であのシンプルな味が発展してきたっていうことなんですね。
スタンプラリーに明石焼祭り 夢は明石焼会席!?
(う) 魚の棚商店街の玉子焼店に望むことってありますか?
(滝) 魚の棚にもこんだけ店ができたら、やっぱり食べ比べできるのがいいですよね。各店で1人1、2個ずつ食べられるとか、楽しみを増やせば魚の棚の目玉になるんちゃう?それでここがおいしいな、と思った店には、また来はるやろ。
(吉) 必ず1人1人前頼まなあかんって言われた、というような話を聞くけど、たとえば子ども用の1人前とか、小さいサイズがあってもいいんちゃう? お店同士連携して「玉子焼祭り」みたいなイベントもやってほしいなあ。
(大) 玉子焼の店も増えたことだし、若い世代の人が魚の棚に訪れるきっかけになってくれたらなあと思います。あと遅い時間まで開けてくれる店があったらと思うんですよね。
(越) 僕は魚の棚ならではの、変わった玉子焼をこれから考案してほしいな。
(滝) 「玉子焼会席」があったらなあ、と思うんですよ。玉子焼をメインにして、遊び心でね、明石のおいしいもんいろいろ出したら、女性にも喜ばれるん違うかなあ。
(吉) そうそう、玉子焼に天ぷらの衣つけて揚げて食べるのもおいしいんですよ。だしに入れて揚げだしにしてもいいし。ほかに、冷凍して、半解凍で食べるのがおいしいという人もいます。いろんな食べ方があってもいいよね。それに、お客さんが自分で焼いて食べられるような店があっても面白いと思う。
(う) 今日はみなさんありがとうございました。魚の棚商店街の玉子焼屋さんも8店舗になって、競争が激しくなってきました。これからますます切磋琢磨して、名実ともに明石のナンバーワンと言われる店が、ぜひこの魚の棚から誕生してほしいものですね!
もっと明石焼(玉子焼)!食べ歩きガイド
うおんたな自慢の明石焼、まだまだありますよ〜。スタイル、食感、味わい、サイドメニューも各店さまざま。全店制覇してみませんか?各店の場所は一面のマップでご確認ください。
あかまつ
(078)912-4621
11:00~17:30
木曜、第3水曜定休
明石焼memo
1人前(10個)350円
つけ出汁/天然昆布とカツオ節(温)
薬 味/青ねぎ
焼き油/サラダ油
板 /無垢板
その他/ソースあり
赤ちゃん連れからお年寄りまで家族みんなに優しい店
明石焼はやわらかさが特徴で、板に置いた途端に球形を保てず円盤形になるほど。味つけは生地は薄め、つけ出汁の味がしっかり目というバランスなので、薄味好みなら浸す出汁の量を減らすなどして調整ができる。10個で350円という手頃さもうれしいところだ。 明石焼と併せて、お好み焼きや焼きそばなど鉄板メニューも揃っている。ゆったりとした空間で、車いすやバギーでも入りやすく、畳があるので赤ちゃん連れにもおすすめ。
店内は畳敷きの小上がりと テーブルで全28席
よこ井
(078)913-0068
10:00~17:30
木曜定休(祝日の場合は営業)
明石焼memo
1人前(10個)500円
つけ出汁/昆布(冷)
薬 味/なし
焼き油/ごま油ほか
板 /無垢板
伝説の明石焼屋台の味を守る頑固一徹、職人の技
大正から戦前まで人気を誇った明石焼屋台「向井」の味を受け継ぐのがこちら。ほとんど味つけされていない冷たい昆布だしが添えられるので驚く人もいるが、これは焼きたてで口の中をヤケドしないよう、冷ますためのもの。ふわ、もちっとした繊細な食感と、つけ出汁なしで完成された味わいが魅力だ。あっさりしていて、冷めてもおいしい。 磨き上げた銅鍋に主の職人気質が感じられる同店で、昔ながらの味を体験してみて!
奥にはカウンターとテーブルで20席ある
よし川
(078)911-8311
11:00~18:00
土・日曜・祝日は~19:00
木曜定休(祝日の場合は営業)
明石焼memo
1人前(15個)600円
つけ出汁/北海道産昆布、鰹節(温)
薬 味/青ねぎ
焼き油/ごま油ほか
板 /朱塗り
その他/ソースあり
魚の棚で40年つづく老舗の風格 ふわ、とろ、の食感が癖になる
魚の棚商店街に現在ある明石焼の店舗としては一番古いのがこの店。代替わりを経ても変わらない味を求めて、何十年と通うファンも多い。前号の紙面アンケートでも「学生の頃から明石焼と言えばこの味(59歳・女性)」などのコメントが寄せられた。
その明石焼の特徴は、表面はしっとり、中は茶碗蒸しを閉じ込めたような食感。上品な出汁の香り、味つけともにバランスがとれていて、飽きがこないおいしさだ。
明石焼以外にもたこ飯、お好み焼きなどメニュー多彩
たこ磯
(078)914-5103
10:00~19:00
定休日なし
明石焼memo
1人前(15個)600円
つけ出汁/昆布(温)
薬 味/三つ葉
焼き油/サラダ油
板 /無垢板(ミックス焼は朱塗り)
その他/ソース、一味あり
絶妙のゆで加減にこだわったプリプリの明石ダコを堪能!!
先代までの靴屋から一転、平成元年に明石焼店としてスタート。店主が甘いもの好きで、明石焼のほかにあんみつやぜんざいなどの甘味が揃っているのがユニークだ。
明石焼で印象的なのは具のタコのおいしさ。ふわふわに焼き上がった明石焼の中でちょうど良いやわらかさになるよう、新鮮な明石ダコを絶妙なゆで加減に仕上げてある。タコの代わりに焼きあなごを入れた「あなご入り玉子焼」もあるので、こちらもお試しを。
28席の店内。弁財天を祀った 「弁天会館」の1階にある。
とり居
(078)912-4043
10:30~19:00
土・日曜・祝日は~20:00
木曜定休
明石焼memo
1人前(15個)480円
※持ち帰り500円
つけ出汁/昆布、鰹節(温)
薬 味/なし
焼き油/サラダ油
板 /朱塗り
その他/ソース、一味あり
うどん店仕込みのつけ出汁をふわふわの明石焼に含ませて
うどん店を経て平成元年に明石焼専門店としてオープン。それだけにつけ出汁のおいしさに定評がある。昆布をメインにカツオだしを少し加えた、旨味たっぷりのまろやかな出汁で、その味を引き立てるために薬味も加えないという潔さ。ふわふわの明石焼にこの出汁をたっぷり含ませて味わおう。
明るくにぎやかなお母さんと娘さん、控えめなお父さんのチームワークも良く、温かな家族の人柄も人気の一因となっている。
奥にはカウンターとテーブルで20席ある
明石焼(玉子焼)コラム
明石焼のやわらかさの秘密
大阪のたこ焼きの生地が小麦粉を主としているのに対し、明石焼の生地は卵が主で、小麦粉やじん粉を配合し、だしで伸ばしてあります。そのため独特のやわらかさがあり、球形というより円盤形のような平らな形になるのです。
やっぱり明石ならではの味
“じん粉”は“浮き粉”とも呼ばれ、小麦粉からグルテンを取り除いたもので、昔から天ぷら(練りもの)のつなぎとして使われていました。新鮮なタコはもちろんのこと、じん粉が身近にあったからこそ、明石ならではの味が誕生したというわけです。
そのルーツは?
明治から昭和初期にかけて製産されていた明石玉(模造珊瑚)の材料に卵の白身を使っていたので、残った黄身を利用するために生まれた、というのが通説。ほかにも、真珠を磨くのに卵の白身を使っていたので残った黄身を利用したとか、殿様に納める和菓子に卵の黄身だけを使い、残った白身を利用したなどの説があって、どれが本当なのかは結局わからないようです。
野口先生の食育コラム
こころも体も健康になるためには、食べ物についての知識をつけ、自分の体にあった食を選択することができるようになりたいものです。大人になってしまうと、「わかっているけど、やめられない」。ついつい食べ過ぎ飲み過ぎてしまいます。好きなものをいつでも好きなだけ食べることが出来る日本の食環境は、私たちのからだやこころを不健康にしてしまうのですね。メタボリック・シンドロームは、まさに生活習慣が大切。大人になる前に、子どもの頃からの生活習慣が大切です。
明石市においては、松が丘小学校が兵庫県教育委員会の指定を受け、平成17年から2年をかけて食育を推進してきました。はじめは何をすべきなのだろうかと困惑した様子でしたが、簡単です。
「食」は楽しむもの。楽しい授業をたくさんしました。子どもたちの頭の中に「?」や「!」をどれだけ作ることが出来るだろうか?そんなことを考えながら、楽しむことを最優先にした授業を多く展開しました。栄養素がどんな働きを持っているかなんてことは小さなことです。勉強ではなく、楽しく遊ぶ感覚として「食」をとらえてもらうことが重要だと思います。
11月2日にその研究成果の発表も行われ、食育の授業の大切さについて多くの先生や児童に理解してもらうことが出来ました。子どもたちは給食が好きになり、野菜の残菜も半減しました。ここ明石でも食を楽しむ子どもたちが増えています。大人のあなたも明石の食を楽しみましょう。
神戸学院大学栄養学部講師 野口孝則さん
1973年福島県会津若松出身。神戸学院大学栄養学部卒業後、京都大学の大学院にて博士号取得、2003年より現職。NPO法人ダッシュ明石が主催する「明石・旬の食とお酒を楽しむ会」でのレシピ指導、兵庫県内の小学校から食育指導など、地域でも活躍中。