魚の棚広報誌 うおんたな9号 

魚の棚と言えば「昼網の魚」
  魚の棚商店街と言えば鮮魚店での店先で「昼網の魚」。豊富な魚介の産地でありながら、魚の棚商店街や神戸・大阪など大量消費地を控えている明石。その地の利とこれまでの歩みの中で、昼市という独特のスタイルや、小売店が直接せりに参加できる全国でも特異な流通形態が誕生しました。水揚げされたばかりの魚が生きたまま売買され、そのまま超特急で小売店へと運ばれる、だから魚の棚ではピチピチ跳ねる魚や歩き回るたこが見られるのです。

昼市が行われる2つの港
 昼市(昼網のせり)が開かれているのは主に2ヶ所。魚の棚のすぐ南、明石港の端にある「明石市公設卸売市場水産部分場(以下、分場)」と、もう少し西、明石川寄りにある「明石浦漁業協同組合(以下、明石浦漁協)」です。鮮魚店の中にはどちらか一方でしか仕入れないところもあれば、両方で買い付けるところもあります。それぞれの特徴を下記にご紹介します。

すべてが昼網もの、ではない
 魚の棚商店街で販売されている鮮魚がすべて明石の昼網ものというわけではありません。明石浦漁協の昼網もの、卸売市場分場の昼網もの、あるいは全国から卸売市場に集まる多彩な魚介もあります。ほとんどが明石の昼網ものという店もあればその逆もあり、各店がそれぞれのこだわりと判断で商品を構成しているのです。自分に合う店をみつけ、顔なじみになるのも、魚の棚での買い物を上手に楽しむためのコツです。

昼網と一般的な流通ルートとの違い

●昼網の流通ルート
昼のせりで小売店が直接買い付ける、という独特のスタイルは全国でも珍しい流通形態。産地と消費地の近さによって実現している。

漁師

昼市

小売店

一般消費者・飲食店

●一般的な流通ルート
全国の産地から、市場と業者を介して消費者へと届けられる。昼網の流通ルートに比べると、時間も流通コストも余分に必要。

漁師

産地市場

仲卸業者

荷受業者

消費市場

仲卸業者

小売店

一般消費者・飲食店

●卸売市場分場のせり

明石市公設地方卸売市場水産部分場
<開始時間>午前11時半~ 
<せり人>大水明石の社員(荷受会社)

せりの特徴
明石を中心に、垂水や淡路、室津までの漁師が水揚げしたばかりの魚介を持ち込み、生きたまま、または今締めたばかりの魚をトロ箱に入れてせりが行われる。畳三枚分ほどの木の台(斜面になっている)を囲んで、魚の品定めをする。せり人のかけ声に応じて、買い付け人は一斉に指の形で希望価格を示し、一番高い値を付けた人が落札。同じ値を付けた場合はじゃんけんで決める。

せり人
荷受会社の利益は売り上げた分の歩合になるから、少しでも高く売りたいのが本音ですよ。みんなが欲しがるものは出し惜しみするし、水揚げがたくさんあるものは残ったら困るからまとめて売る。1尾2尾で売ったり、トロ箱2枚、3枚で値を付けたり、うまいこと判断して売らなね。

買い付け人
絶対量は明石浦漁協に比べて少ないものの、魚種が豊富。間近で魚を見たり触ったりして確認できるし、値段がせり上がることはなくて一発勝負やから、うまくいけば良い魚が安く買えることもあるね。少人数でせり台を囲んで、冗談を言ったり茶化したり、それも駆け引きのうちで、ゲーム感覚の楽しさもある。せりの状況は毎日違って、そこに怖さも面白さもあるね。

”明石発“ラベルができました
明石水産物卸売連合会では2007年の4月より、明石市場から出荷される水産物に”明石発“のロゴ入りラベルシールを入れています。新鮮でおいしく、安心、安全な明石の魚のブランドをアピールするのが狙いです。皆さんも鮮魚店の店頭で見かけることがあるかも?

●明石浦漁協のせり

明石浦漁業協同組合共販所
<開始時間>午前11時半~
<せり人>明石浦漁協の職員

せりの特徴
せりにかけられる魚介は明石浦漁協に所属する漁師が持ち込んだものだけ。生け簀から引き上げた魚介を、生きたまま素早く売買する。階段状になった大きな台に何十人もの買い付け人が立ち、せり人が声で発する符丁(独自の値段表現)に応じて、せり台を通過していく商品をひと目で判断しながら、手の合図で値段交渉したり、意思表示を行う。

せり人
たくさんの人が一斉に手で出す表示価格を見落とさずにチェックせないけません。納品時間が決まっているスーパーや、少しでも早く店頭に並べたい魚屋さんのために、速く確実にせりを進めるのがせり人の役割。何と言ってもスピードが大事、体力勝負です。

買い付け人
明石浦は漁協に所属する漁師が多いから、出てくる魚の量も多い。せやからせり時間は1~2時間かかる。時間が長い分、せりの初めと中程、終盤とでは同じ魚でも値が下がってくる。どの時点でどれだけ買うかは買い付け人次第やけど、遠くまで運ぶんやったら多少高い値でも早い時間にせり落とさなあかん。その点、魚の棚は近いから、終盤の方で安くたくさん仕入れることもできる。

※明石浦漁協は関係者以外立ち入り禁止です。

うおんたなの奥様は知っている
限定品・限定サービス お得情報

魚の棚の女将さん、若奥さんたちだから知っている商店街のお得情報、こっそり教えてもらいました!「あの店で○曜日にしか売ってないアレがおいしい」「たまにしか出てないけどめっちゃお買い得!」「競争率が上がるからホンマは教えたくないねんけど…」そんなお得情報、満載です。

<明石焼・お好み焼>よし川
078-911-8311
10:00~19:00(土・日曜・祝日~20:00)
木曜定休(祝日の場合は営業)

明石焼・たこ飯セット(雨の日特価)
前号の“奥さま座談会”登場の今村さんの店。雨の日にお得なサービスあり!明石焼とたこ飯のセット、通常950円のところ、雨が降っている時間は800円の特価奉仕。漬け込んだ干しだこと自慢のだしで炊く、特製たこ飯が売り切れるまでの限定サービスです。

<精肉>森谷商店
078-914-4129
7:00~18:30 木曜定休
日替わり奉仕いろいろ
他の曜日には買えない「特製鶏の照り焼き(もも肉・チューリップ)」が登場する火曜日、自家製焼豚が約25%引きの大特価奉仕になる水曜日、コロッケほか揚げ物が特価になる金曜日など。曜日によって異なるお買い得商品、限定商品があります。

<鮮魚>かねき
078-911-2410
7:30~18:00
木曜・第3水曜定休

全商品100円引き(火曜奉仕)
前号の“奥さま座談会”登場の藤原さんの店。火曜日がお買い得デーで、朝一番から鮮魚が通常の価格より100円引き、あらなどを詰めた味噌漬けのお得パックも登場。終日、全商品が安くなるので、常連のお客さんたちもこの日は絶対はずさない!

<青果・豆腐>金引青果
078-911-1925
8:00~18:30木曜定休

豆腐(水曜特価)
現在は青果店ながら、かつては自家製豆腐専門店だっただけに豆腐の味にもこだわっているのがこちら。水曜日は豆腐の特価日で、もめん・絹ごし(120円)、田舎豆腐(130円)が各100円、ミニ絹ごし(100円)が80円のサービス価格に。(豆腐コーナーは店内奥)

<味噌漬>魚 常
078-911-4112
9:00~18:30 木曜定休

端・カマのお買い得パック(月曜朝一)
さわらや鯛、ほか季節の魚の味噌漬けが人気の「魚常」ですが、通常の切身の部分ではなくて端部分やカマの部分の味噌漬けを詰めたお買い得パックが月曜日の朝に登場します。1皿160円、売り切れゴメン!お弁当のおかずなどに重宝しますよ。

<漬物>畠田商店
078-911-2190
7:30~18:30 不定休

刻みキムチ(月初め特価)
毎月1日から7日まで鶴橋仕込みの「刻みキムチ」がお買い得!通常1袋(300g)525円のところが420円になります。あらかじめ刻んであるので食べるときに包丁で切るのが面倒、という人におすすめの商品。

<炭焼あなご>林喜商店
078-911-3378
9:00~17:30 木曜定休

あなご弁当(一日20食限定)
毎日11時半から店頭に並ぶ「あなご弁当(1000円)」は限定20食で売り切れゴメンの人気商品。自慢の炭火焼あなごをのせたご飯は、特製のたれで味つけ炊き込んであるので旨味が染みています(予約可)。その他、時間と曜日不定で登場するあなごの肝焼(1本160円・1人5本まで)も人気!

<紅鮭・くじら>鯨 安
078-917-1836
9:00~18:00 木曜定休

紅鮭のアラ(不定期・限定)
くじら専門店だけど、北海道産の紅鮭とたらこもビックリするほどおいしい!普段のおかずにはちょっと贅沢だけど、値段だけの価値あり。たまに登場する「鮭のアラ」を詰めた袋を見つけたら迷わずゲット!焼いてほぐせば絶品さけフレークのできあがりです。

<鮮魚>松 田
080-5337-5796
9:00~18:00 無休

天ぷら盛り合せ(火曜のみ特価)
鮮魚店が作る天ぷらのお買い得情報。通常は夕方からしか販売しない盛り合せ(6個500円)を、火曜のみ7個500円の特価で終日販売!
くじら、たこ、はも、えび、まぐろなど内容はお店のおまかせです。

<お好み焼き>水 仙
078-913-1850
11:30~20:00 日曜定休

生ベーコン(不定期・限定)
前号の“奥さま座談会”登場の澤田さんの店。だいたい3週間に一回日曜日に仕込むという「自家製ベーコン」があり、その週の月曜と火曜だけはできたてベーコンが登場、常連客の間で大人気!まずはお好み焼きを食べながら、女将さんに「次のベーコンの仕込みいつ?」と聞いてみましょう。

<焼鯛・味噌漬>宝来焼魚店
078-912-6917
9:00~17:30 火曜定休

味噌漬のお得パック(不定期・限定)
鯛の姿焼や焼あなごなど自家製の焼魚などが自慢の店。季節の味噌漬も人気で、とくに時々登場する端・カマを詰めたお買い得パックは早いもの勝ち!1袋400円、サワラやスズキ、タイなど取り混ぜてたっぷり。週に2~3回、曜日は不定。

魚の棚ホームページクーポン情報掲載店

魚の棚商店街の公式ホームページには、お得なクーポンを発行しているお店もあります。街歩きの前に、お買い物の前にまずはココをチェックして!クーポンをプリントアウトして持参した方のみ、割引やその他サービスが受けられます。

読者様からの奥様応援メッセージ

前号の座談会にはたくさんのご感想や応援メッセージをいただき、ありがとうございました。一部ですがこちらにご紹介します。これからも奥さま方には、女性ならではの視点を発揮してもらう予定です。皆さんのご意見や応援も大歓迎!よろしくお願いします。
●とても興味深く読みました。スーパーの小売りに慣れてしまっているので、魚の棚の盛りの量やお店の勢いに圧倒されてしまい、買えずに素通りしてしまうこともしばしばあります。ですが、記事を読んで、色々な工夫をやって行こうとされる姿に、私もどんどん話しかけたりして上手に利用できたらいいなと思いました。(大明石町/OMさん)
●(座談会参加者の)澤田さんのように「サラリーマン家庭から見ると…」と考えて下さる人がいて、少しでも買いやすいようになったら嬉しいです。やっぱり明石っ子なので魚の棚で買い物したい。子育てして、企画して、勉強して…と大変でしょうが頑張ってください!そして男の方も女の意見を聞いてサポートしていって欲しいと思います。(大久保町/MKさん)
●いやぁ~うおんたなの奥さまたちってしっかりしてはりますねぇ。客観的にご自分たちをみていらっしゃるし、”これから“に向けて建設的な考えをもっていらっしゃるし。新しい企画の一つひとつに「うん、それイイ!」とうなずきながら読んでいました!特に「(各店から)持ち出してお惣菜屋さん」はグッドアイディア。ついでにそれでお弁当作ってくださいよ!大ヒット間違いなし!商品化したらお知らせください、きっと買いに行きます。(神戸市西区/OJさん)
●「ひと盛りが多すぎる」の話ですが私は逆です。何か得した気分ですよ。子どもが小さい時連れて行っては魚の名前をいろいろ教えてもらいました。実は私も魚の名前ほとんど知りませんでしたので、懐かしいわ。これから各お店に行ったらお顔拝見させてネ。(岬町/KEさん)
●奥さま軍団のお店がオープンするの楽しみにしています。(垂水区/OEさん)

魚の棚商店街でジャズフェスティバルを企画

 普段ならほとんどの店が閉店し、商店街が静かになる時間。魚の棚の真ん中に特設ステージが現れ、ビッグバンドの演奏が響き渡る…。昨年10月に魚の棚商店街で初めて開催され、盛況を博したあのイベントが帰ってくる!
 今年は9月16日(日)に開催される「TACOTACOジャズフェスティバル2007」の、運営事務局の中心となっているのが明石で数々のジャズライブを企画してきた団体「LIVE135」。その代表を務めるのが薮内良治さんだ。
 薮内さんは明石で生まれ育ち、市内で保険事務所を営んでいるが、一方でジャズトランぺッターとしての顔を持っている。「在籍していた明石青年会議所で学んだまちづくりのノウハウと、長年関わってきたジャズの世界を活かして明石でライブ運営をやりたい」。まちづくりの仲間と語り合う中で生まれた薮内さんのそんな思いから結成されたのがNPO法人「ダッシュ明石」の音楽部門チーム「LIVE135」。毎月一回、たこフェリーの待合い室奥にあるレストラン「漁師めし新浜(旧たこたこ亭)」ジャズライブを運営している。神戸や大阪のライブハウスに出演しているプロミュージシャンを招いてのライブが好評で、2004年12月のこけら落としから計58回のライブで毎回満席に近い聴衆を集めている。
 昨年初開催となった魚の棚商店街でのジャズフェスティバルは、市内のアマチュアジャズプレイヤーにより多くの演奏の機会を作りたい、という思いから誕生した。「屋内のホールではなく、まちかどのイベントにすることで、普段ジャズに触れていない人にも聞いてもらえる。しかも『魚の棚商店街』という意外性がニュースにもなり、地域の発信になるはず」。そんな信念から商店街側に持ち込まれた提案が実を結び、第一回のジャズフェスティバルが実現した。予想を上回る大盛況となり、商店街からも「長い間コンサートに行くこともなかったが、青春時代を思い出した」「涙が出た」などの声が挙がった。その手応えを励みに、さらにバージョンアップして第二回開催の準備を進めているところだ。
 「直接商売にプラスになるわけではないけど、このイベントを魚の棚を発信する一つの材料として活かしてもらえたら…。屋台を出すなど、一緒にイベントを作り、盛り上がってもらえたらうれしいですね」。

大蔵中学吹奏楽部、明石高校音楽部を経て甲南大学でジャズに出合う。現在、神戸を代表するビッグバンド「モダンタイムス」のソロトランペットを担当。「LIVE135」代表、株式会社ヤブウチ保険事務所代表取締役。

※「LIVE135」が企画するその他のライブ情報についてはホームページで発信中
http://www.live135.com/

魚の棚商店街七夕飾り

魚の棚商店街の”七夕祭り“と言えば、かつて毎年行われていたのを覚えている方も多いことでしょう。昭和33年にスタートし、毎年趣向を凝らした七夕飾りを競い合い、華やかな夏の風物詩として親しまれました。しかし、人手不足や笹の入手困難、搬送の交通事情などの理由で昭和55年を最後に途絶えていました。
 今年、「七夕飾りを復活させよう」声を挙げたのは魚の棚の喫茶店「ソアラ」の藤澤店長。前々から思いを温めていたところ、前号のミニコミ紙「奥さま座談会」の中で、子どもの頃の思い出として七夕の情景が語られていたのを読んで、背中を押された気がしたとか。実行部隊「チーム七夕」を結成し、73本の笹を用意。魚の駅で短冊を募集し、お客さんからも約100枚の短冊が寄せられました。

 評判は上々。藤澤さんは「長く笹をもたせる工夫もして、本数も増やして…」とすでに来年に賭ける意気込みも十分です。また来年をお楽しみに!

前号のアンケートから
たくさんのお葉書ありがとうございました

前号は巻頭の特集「うおんたな奥さま座談会」が大好評。とくに女性読者の皆さんから多くのメッセージをいただきました(2面に掲載)。
「行楽のおとも」特集も好評でした。皆さんのおすすめの行楽スポットは明石公園がダントツ人気!上位3位は左記です。(全75票)
1位 明石公園(41票)
2位 石ケ谷公園(14票)
3位 大蔵海岸(8票)
その他、松江や藤江などの海岸、魚住の住吉神社、西明石の上ケ池公園、人丸山なども。海も緑も楽しめる明石の環境は素晴らしいですね!
●子どもが産まれてから、もっと料理が上手になりたいと思うようになり、いろいろ挑戦しています。「明石の旬と食を楽しもう!」の鯛めし、ぜひ作ってみます!
●「いかなご醤油」の話題や、前回で連載終了となった「野口先生の食育コラム」もそれぞれに「興味深い!」等ご意見いただきました。その他、商店街や紙面全体についてこんなお便りも。
●小さい頃から魚の棚が大好
きです。最近は観光客向けの商売が多くなってきたような雰囲気で少し残念…。地元に根づいた商店街でいて欲しいです。
●今年はいかなごの入荷が少なく値段も高く、毎年楽しみにして下さってる皆様には「ふるせ」を炊いて送りました。とても好評でした。