魚の棚広報誌 うおんたな13号
うおんたなの男の料理<真だこ編>
明石では、ほぼ1年中たこが獲れます。安定した淡白な味わいは和食、洋食どちらでも楽しめ、下処理のコツさえつかめば扱いも簡単!冷凍保存をしてもおいしさが変わらないので、安い時期に多めに買うのもおすすめです。
ということで今回は明石だこをクローズアップ!! そのおいしさを知り尽くしたうおんたなの男性陣に語り合ってもらい、さらに自慢のたこ料理を披露してもらいました。
明石だこはなぜおいしい?
全国に名を知られる「明石だこ」、水揚げ量だけではなくその品質、味の良さから日本一と言われます。その理由は2つ、明石海峡の潮流とえさの豊富さです。明石海峡は潮流が速く、厳しい環境で育つ明石のたこは他の地域のタコに比べて筋肉質。その表現として「明石のたこは立って歩く」と言われるほどです。身が引き締まっていて、食べるとこりこりとした歯ごたえが特徴的です。また、明石海峡はたこの大好物・稚がにの宝庫でもあります。人間にとってもとびきりごちそうのかにを毎日食べているのだから、おいしいのも当然。明石のたこが日本一おいしいと言われるゆえんです。
明石だこを買うなら 魚の棚商店街。
そんな明石だこを買うなら、ぜひ魚の棚で!もちろん魚の棚でなくても手に入れることは可能ですが、おすすめするにはちゃんと理由があるのです。明石の浜ではお昼の11時半に獲れたての魚がせりに掛けられます。これが有名な明石の昼市。浜ではもちろん、明石だこは生きたまま取引されます。魚の棚商店街は昼市のせり場と隣接しているので、お昼過ぎともなれば、さっきせり落とされたばかりのたこが店頭に並びます。元気な明石だこが店先でグネグネと動き回る様子は、筋肉質の引き締まった身といきの良さを表しています。
基本的なたこの下処理
(1)まず目の裏の筋を指でちぎる。
(2)頭をひっくり返し、墨袋を破らないように気をつけながら、内臓を取る。
(3)塩(安いもので良い)をたっぷり使い、金ざるに擦り付けてから
流水で洗い流して、ぬめりをしっかり取る。
●ゆでだこにする場合
火の通りを均等にするために足の付け根に切り目を入れるか、または足をばらして、たっぷりの沸騰したお湯でゆでる。スパゲティで言うとアルデンテのゆで具合が最高で、ゆで上がったら氷で締めるのも大切なポイント。
●冷凍保存する場合
足を一本ずつばらしてラップで包み、ジッパーつきの袋に入れて冷凍保存する。
使うときは自然解凍で。
わいわい男の料理談義
料理の楽しさは買い物から始まっている!
●松谷 僕が提案したいのはスローフードの考え方です。食というのは、ただ食べるだけが楽しみやない。買い物に行く楽しみ、料理する楽しみがあり、食卓においしいもんが上がってそこに笑顔が生まれ、コミュニケーションが生まれる。地元の食材で手づくりして、家族でおいしいもん食べたら会話は自然と楽しいもんになると思う。
●藤澤 お惣菜屋さんでパッと買える便利さもいいけど、走り回って材料を揃えるのもごちそうというやんか。男の料理は旬の材料を思い切りよく使って、もてなすのがええとこや。比較的豪快なもんが多いかな。
●安原 商店街としての魅力は、あっちこっち寄りながらいい食材を集めて買い物する楽しさ。休日のお父さんが家族のごはんの材料と自分のつまみでも買って、腕を振るうのも、言ってみれば贅沢な時間の使い方なんちゃうかな。普段作ってるお母さんよりはヘタかもしれへん、味も濃いかもしれへんけど、そこがおいしい、みたいな。お取り寄せでも何でも簡単に手に入る時代やけど、汗をかいて苦労してできた料理を食べることに意味があると思う。
魚の棚で買い出し、料理する姿が子どもの食育にもなる。
●安原 子どもにとって、商店街でこうやって物が流れてるんやとか、こうやって生きた魚が売られてるんやっていうのを見ることは勉強になる。休日に家族で買い出しに来て、お父さんが品定めしてる風景を一緒に見たりすることは、子どもにとっていい経験、食育になると思うんです。
明石は素材がええから腕がなくても大丈夫!
●安原 この前お隣さんからアジを丸っぽで5匹ももらってね。僕はアジを捌いたことがなかったんですよ、商店街にいるから、いつでも魚屋さんにおろしてもらえるというのがあるからね。けどせっかく新鮮なんもらったんやからチャレンジしてみよか、と料理本を引っ張り出してやってみたんですよ。手は生臭くなるし、出来上がってみてもクタクタやったりするけど、やっぱり面白かったし、おいしかった。ほんなら次はもうちょっと上手にやったろか、という気にもなった。
●松谷 いや、それはホンマにおいしかったと思うよ。そこが明石のええとこや、料理がへたでも(!)明石の魚はおいしいねん、鮮度がええから。
●安原 食材のええとこは料理が発展しにくい、とも言われるぐらいやからね。明石は新鮮な素材が手に入るから、そのままで凝ったことせんでもおいしい。お父さんに料理の腕がなかったとしても、それなりにおいしくできる。お父さんの株が上がります。
男の料理企画、続編の予感!?
●越智 自慢の料理を持ち寄っての品評会、今後もいろんな店のご主人が登場して料理したら面白いんちゃいますか。紙面ではレシピも公開(中面参照)するので、読者の皆さん、お父さんが「よっしゃやったろか」と腰を上げるきっかけになったらいいですね。
●藤澤 そうそう、今年で七夕まつりも復活して3年目になるけど、元はといえばこの紙面での対談がきっかけやったんやからね。奥さま対談で「昔は七夕まつりがあって楽しかった」という思い出話が出てるのを見て、よっしゃほんなら、という気になった。
●田中 いや、紙面だけで終わらせるのはもったいないんとちゃう?イベントとして定期的にやってみるのもええかもなぁ。
うおんたなの男の料理<真だこ編>
真だこ編ゆでだこ、から揚げ、天ぷらなど、たこの料理法はさまざま。しかし魚の棚で手に入るのはとびきり新鮮な活きたたこ。まずは素材を活かしシンプルに刺身で味わってみたいものです。身のコリコリ感と旨みがダイレクトに伝わる刺身は、ごまかしが利かないからこそ鮮度で勝負!真だこ編うおんたなの男の料理
裏はやわざたこの刺身
活きたたこを削ぎ造りにして刺身で味わうシンプル料理。表面に熱湯をかけることで、塩もみなどぬめり取りの面倒が省けるという裏技のアイディアが斬新!
<材 料>
たこの足(生)・さしみ醤油・わさび
(1)生のたこの足を、ぬめりを取らずに 1本ずつ切り分ける。
(2)切った足にまんべんなく熱湯をかける。
(3)皮ごと薄く小さく削いで盛りつけて、わさび醤油でいただく。こうすれば、面倒な皮を剥ぐことなく、 皮ごと食べることができる。めんどうな皮の処理を省ける 裏技・はやわざ!
松谷流料理のツボ!
塩もみをしない分、表面に熱湯をさっとかける作業は忘れずに!生のたこの食感と旨みが味わえて、コリコリとした吸盤の歯ごたえも楽しめるおすすめの方法です(松 庄 松谷佳邦)
たこんぶ(たこの昆布和え)
ゆでだこと塩昆布、めんつゆがあればできる超簡単な一品、これぞ男のレシピ。きゅうりなど歯ごたえのある野菜を添えればさらに食感が際立ち、食卓の名脇役に。
<材 料>
たこの足 4本・塩昆布 適宜、そうめんつゆ 適宜
(1)ゆでだこの足を適当な大きさに ぶつ切りする。
(2)切ったたこを大き目のコップや密閉容器、ジッパー付き袋などに入れて、 塩昆布とそうめんつゆを入れる。
(3)コップならラップ、容器は密閉して 2分間シェイクする。
(4)小皿に盛り付けてできあがり。
安原流料理のツボ!
お店のまかないで、明石焼用に刻んだたこを活用して生まれた一品です。お酒のあてにもご飯のおかずにもなり、急な来客時にも便利!これはびっくりするほど簡単な料理やけど、普段の僕は凝った料理もやりますよ!(あかし多幸 安原宏樹)
食感と味の取り合わせが絶妙な包み揚げはビールのお供に最高!サラダは子どもでも簡単に作れてごはんのおかずになる。どちらも梅味噌の風味で、さっぱりとおいしくいただけます。
たことチーズの梅味噌包み揚げ
<材 料>4人前
ゆでだこの足 2本
長いも 4センチ
とろけるチーズ適宜
春巻きの皮、梅干し1個
味噌大さじ2
みりん大さじ1.5
こしょう少々
(1)ゆでだこの足を5ミリ角に、長いもはたこよりも少し大きめの角切りにして、ボウルに入れる。
(2)梅干・味噌・みりん・こしょうで梅味噌を作り、1のボウルに入れて絡ませる。
(3)春巻きの皮に2の具を乗せ、上からチーズをかけて包む。小麦粉を水で溶いたものをのりとして端を留める。
(4)170度のオリーブオイル、またはサラダ油で1分揚げてできあがり。
たこの和風地中海サラダ
<材 料>4人前
ゆでだこの足 2本
(A)みょうが、きゅうり、新しょうが、大葉、スプラウト
(B)味噌大さじ2、梅干(種抜き)大2個、オリーブオイル大さじ3、 レモン汁大さじ3、こしょう少々、だし醤油少々
(1)たこの足を薄い削ぎ切りにしてお皿に盛り付ける。
(2)(A)の材料をすべて細めの千切りにして 氷水にさらし、シャキッとさせる。
(3)2の水気をしっかりと取って1に盛り付け、(B)の和風地中海ドレッシングをかけてできあがり。
田中流料理のツボ!
”立ち呑みの店に社長がいる時は天ぷらの注文が増える“と言われるほど!?、僕は揚げ物が得意なんです!コツは油の温度を感覚で覚えること。(立ち呑み田中 田中泰樹)
酒もみたこの天ぷら
基本的なたこの天ぷら。歯ごたえを残す場合はたこをぶつ切り、軟らかくしたい場合は薄切りにして。
<材 料>
たこの足 2本
まぶす用の天ぷら粉 適宜
衣用の天ぷら粉 200g
水 150cc・塩 少々
(1)たこの足を好みの大きさに切る。
(2)水気をきって、天ぷら粉をまぶす。
(3)衣用の天ぷら粉に水と塩を加えて溶き、2のたこをくぐらせて、揚げる。油の温度は170度
(衣を少し落としたら底まで沈んでゆっくり上がってくるぐらい)
(4)170度のオリーブオイル、またはサラダ油で
1分揚げてできあがり。
酒もみたこの煮付け
やわらか煮ではなく、歯ごたえを楽しむ簡単な煮付け。冷蔵庫に入れて一晩味を染ませて食べるのもおすすめ!
<材 料>
たこの足 2本
煮汁…酒:みりん:淡口しょうゆ=1:1:1
(1)たこの足は、たっぷりのお湯でゆで、氷水で冷やして締める。
(2)1をぶつ切りか薄切りにして、沸かした煮汁に入れてサッと煮る。
藤澤流料理のツボ!
普通はたこの下ごしらえする時、塩か米ぬかとか使って揉んでぬめりを取るやろ。うちは酒を使うねん。大きめのたこやったら2合から3合の酒を使うからちょっと高くつくけど、これが一番速くて簡単にぬめりを取る方法!安いのでいいから酒をたっぷりかけて、揉んで、ぬめりが取れたら水で洗い流すんや。(喫茶ソアラ 藤澤一正)
たこと野菜のコンビネーション。
タウリンたっぷりのたこは栄養補給にもぴったりです。彩りよく、食べれば元気の出る二品!彩りよく、食べれば元気の出る二品!
たこのフリット・ラタトゥーユ添え
基本的なたこの天ぷら。歯ごたえを残す場合はたこをぶつ切り、軟らかくしたい場合は薄切りにして。
<フリットの材料>
ゆでだこの足 2~3本
(A)小麦粉カップ2分の1、ベーキングパウダー、小さじ4分の1
卵 1個
塩・こしょう 適宜
揚げ油
(1)ゆでだこの足を食べやすい厚さ、大きさにスライスし、塩・こしょうを軽くしておく。
(2) Aを合わせて振るっておく。
(3)1のたこに2の粉をまんべんなくまぶし、溶きほぐした卵にくぐらせる。
(4)揚げ油を熱して3を揚げる。
<ラタトゥーユの材料>
にんにく 2片、ホールトマト 1缶、ズッキーニ 1本、玉ねぎ 1個、パプリカ赤・黄 各1個、なすび 1本
塩・こしょう 適宜
オリーブオイル 適宜
(1)野菜はすべて1センチ角に切る。
(2) オリーブオイルににんにくを入れてフライパンを熱し、香りが出てきたら1の野菜を入れて炒める。
(3)全体が炒まったらホールトマトをつぶしながら入れて、汁気がなくなるまでよく煮詰める。
(4)塩・こしょうで味を調える。
たこのサラダ 白ごまドレッシング
<材 料>
ゆでだこ 150~200g、レタス、貝割れ大根、ベビーリーフなど葉もの野菜、大葉、みょうが、塩・こしょう・オリーブオイル・小麦粉 各適宜
(ドレッシング)
すりごま 大さじ2、ねりごま 大さじ2、砂糖 大さじ1と2分の1、酢 大さじ3、オリーブオイル 大さじ4、レモン汁 半個分
(1)たこは大きめの一口大に切り、塩・こしょうで下味を
つけて、薄く小麦粉をまぶしておく。
(2)野菜は食べやすい大きさにちぎって水気を切っておく。
(3)ドレッシングの材料を混ぜ合わせる。
(4)オリーブオイルをフライパンで熱し、1のたこを両面こんがりと
するまで焼く。
(5)野菜とともに器に盛り、食べる直前にドレッシングをかけていただく。
越智流料理のツボ!
独身時代に今の嫁さんが”野菜も食べなあかんよ“と教えてくれたレシピです。結婚した今は、子育てで疲れている嫁さんに感謝を込めてたまに作ってます。(着物のおち 越智泰安)
みんなのいかなごレシピ大募集!
今回の特集では、魚の棚の男性陣が自慢のレシピを公開してくれました。さて次回は、読者の皆さんにもご協力いただき、いかなごレシピを特集したいと思います!いかなごと言えばくぎ煮ですが、ちょっと変わったくぎ煮の作り方や、くぎ煮をさらにひと工夫しておいしく食べるアイディア、その他新子・ふるせのおすすめの食べ方など何でもOK。気軽にドシドシお寄せください。
イベント報告 魚の棚商店街「七夕祭り」
昭和33年から22年間、夏の風物詩として親しまれた商店街の七夕祭りが復活して3年目。今年も開催しました。喫茶店「ソアラ」の店長・藤澤さんを発起人に結成された「チーム七夕」を中心に、80本の竹を配布し、柱ごとに取り付け。各店で願い事を書いた短冊を用意し、飾り作りは長寿院保育園と稲爪保育園、学童の子どもたちにも協力してもらい、カラフルで個性豊かな七夕飾りが商店街を華やかに彩りました。
昭和33年から22年間、夏の風物詩として親しまれた商店街の七夕祭りが復活して3年目。今年も開催しました。喫茶店「ソアラ」の店長・藤澤さんを発起人に結成された「チーム七夕」を中心に、80本の竹を配布し、柱ごとに取り付け。各店で願い事を書いた短冊を用意し、飾り作りは長寿院保育園と稲爪保育園、学童の子どもたちにも協力してもらい、カラフルで個性豊かな七夕飾りが商店街を華やかに彩りました。
前号のアンケートから たくさんのお葉書ありがとうございました
前号では巻頭の「風景をたどる昔のうおんたな」と、中面の特集「昭和の時代 魚の棚に生きた男と女」での菅野さん、瀧野さんおふたりのインタビューが印象的だったというご意見を多くいただきました。今回はその感想を中心にご紹介します。
●なつかしい写真が多く掲載されていてよかったです。写真の中に私の父が勤めていた阪神相互銀行の看板を見つけ、うれしかったです。
●トロ箱を積んだ大きな自転車が行き交っていたのを思い出しました。
●今年還暦を迎えた私にとって、昔のうおんたなの記事は本当に懐かしかったです。カンカン屋の姿を魚の棚や明石駅のホームなどでよく見かけました。子どもの頃は魚の棚に行くのが楽しく、うれしかったです。今も行くと元気が出ますね。
●昭和二十年、三十年のまだ文明の利器がない時代、私は娘でしたが母の苦労をよく見ていました。洗濯なんか手伝うと手が赤くはれたのを思い出します。
●素直にしみじみと語られるお人柄裏打ちされた、人生への自信、揺るがない自負。改めて、一つの芯を持って精一杯生きる輝きが年輪なのだと気づきます。こういう取材をされたところにも、魚の棚への自信が感じられ、若い方々の意気込みも素敵だな、と思いました。
●瀧野さんの記事に感心して頭が下がる思いです。いいお言葉もたくさんあり、いくつになっても目標を持って生きることの大切さを教わりました。
●転勤で海のない岐阜から明石に来ました。想像以上にいいところで”舞い上がって“います。せっかく素敵な街とキトキトの魚にめぐり合えたので、良い魚の目利きの仕方(特にタコ)や、各お店の達人イチオシの料理レシピ特集などしていただけたらうれしいです。
遠方から明石に引っ越してきたばかりという方からも何通かお便りをいただきました。そういう方々にも明石や魚の棚を好きになっていただくきっかけになるような紙面になるよう、努めていきます!