魚の棚広報誌 うおんたな創刊号
ご意見ちょ~だい!
ミニコミ紙「うおんたな」創刊号の巻頭を飾るのは奥さま座談会。「普段あまり魚の棚で買い物をしない」という奥さま4人で、魚の棚商店街のいいとこ、嫌なとこをテーマに本音をぶっちゃけていただきました。
この度、参加下さったメンバー
Sさん 松が丘北町在住 40代 主婦 明石在住12年
豊中から明石へ。来客など特別な時以外はもっぱらスーパーで買い物。
Mさん 松が丘北町在住 50代 主婦 明石在住12年
堺出身。家ではよくご主人が魚をさばいて料理してくれるそう。
Kさん 茶園場町在住 40代 主婦 明石在住40年
実家は桜町。春になるとイカナゴを大量に炊いて知人に送るとか。
Yさん 桜町在住 40代 主婦 明石在住16年
加古川出身、結婚後ご主人の地元明石へ。週に何度か魚を食べる。
魚 魚の棚商店街代表 松谷佳邦さん『松庄』代表。
某スーパー鮮魚担当を務めた後、家業の魚屋を継いで13年。
日常の買い物はスーパーマーケットが便利。ここぞという時には「魚の棚ブランド」が欲しい!
魚 皆さん、あまり日常的には魚の棚で買い物されないようですが、どんな時に魚の棚で買 い物したいと思われますか?
K 遠方の知人に、天ぷらや鯛ちくわをよく送ります。あとはイカナゴを買いに。
Y 普段の買い物はスーパー。魚の棚ではお遣いもので穴子を買ったりします。
M お土産であげた釘煮を知人が気に入って、それから同じ店のを送ってます。
魚 魚の棚のブランド力は皆さん感じてはるみたいですね。
M それは大いにありますよ。贈り物なら魚の棚の名前の入ったものを、と思います。
スーパーの安売り広告につられちゃう。
魚の棚って実際、高いの?安いの?
魚 スーパーで買い物するのはどうしてですか。
M 仕事の日は時間に余裕がない。まとめて買い物をすませたいから近くのスーパーに行きます。
Y 魚の棚の魚はもちろん新鮮で良いものだけど、高いというイメージがある。家計のことを考えると安さ優先になって、スーパーの安売りのチラシが入るとついそっちへ。魚の棚では売り出しとかしないんですか?
魚 年一回だけ売り出しの広告を出してきましたが、これは商店街でも賛否両論あります。魚の棚のいいところは昼網の魚や鮮度にこだわっているお店が多いからです。そんな魚の棚の思いを伝えたいという気持ちから、今回こうしてミニコミ誌を発行することになりました。
愛想悪くされたら、二度と行きたくない!少量でも気持ちよく買えたら、うれしいのに
Y 魚の棚は一盛りの量が多いでしょう。結婚した当初、夫婦2人には多すぎて、冷凍するん やったらスーパーで買うのも一緒やなって思いました。
S 私はお造りを頼んだら「そんなちょっとの量できへんわ」って言われたことある。うちにした ら少ない量ではなかったのに、そう言われたらもう買いに行けない。
M 少ない量で悪いけどどうしても買いたい、という時もある。
「申し訳ないけど」っていう気持ちでお願いしてるから、快く受けてくれる店があったら、絶 対また行こうって思いますよ。
活気の良さは好きやけど、もうちょっと落ち着いて見たい!
M 私は欲しいものをじっくり見てから選びたい。でもお構いなしにガンガン売り込んでくる店 ありますよね。よく売れてる店では横柄な態度の人も多いです。
S 強引に試食すすめられたりしたら「買わなあかん」って気を遣って疲れて、足が遠のいた っていうのはある。それと、魚の名前とか「煮付けにおすすめ」とか、書いてあったらいい のに。
魚 魚の棚の売りの一つは昼網で、新鮮さを何より優先しています。昼網の魚が店に並ぶの は12時過ぎぐらいなので、お客さんが来る時間とちょうど重なる。だからていねいな説明 を書いたりするのは無理で、口頭での説明になってしまいます。
S なるほど、スーパーと同じことを求めたら、逆に魚の棚の良さが無くなってしまうんです ね。
魚の棚の魚って全部昼網?明石以外の魚も多いって聞いたけど。
S どの店も明石の昼網で揚がったのを売ってるんですか ?
魚 実際、今は昼網を扱う店の魚屋が少数派になってきています。僕の考えで言えば、やっぱりスーパーでも買える魚ではなく、目の前で揚がった明石の魚を売りたい。でもそれをすべての魚屋に押しつけることはできません。昼網は養殖ものに比べたらリスクも大きいし、それぞれの店の考え方がありますから。あとはお客さんの価値観と判断に任せるしかないです。
M 私は人に送るとき「魚の棚から送った」ということが大事やから、それが明石の魚かどうかは気にしない。
S 私は明石の昼網でないなら「わざわざ買いに行く甲斐がない」と思う。でもどの魚がそうなのか、よくわからないんです。
魚 昼網にはそう書いてありますし、あとはお客さんに見極める力を持って欲しい気持ちもあ ります。
僕らはできるだけの情報提供をするし、日々買いにきてもらえば、どれが明石の魚でどれがそうでないか、わかるようになりますよ。
やっぱり清潔感は大切。くわえタバコなんて、言語道断!
S ある魚屋さんでね、販売してる人がタバコくわえてたんです。そういう店ではやっぱり買い たくない。
魚 魚の棚は、まだ卸売りの市場のノリが残ってるところもあります。一軒でもそういう店があ ったら魚の棚全体のイメージが下がるから、それは絶対直していかなあかん部分やと思 います。紙面でこういうお客さんの意見を載せるというのはさまざまなご意見があろうかと 思いますが、だからこそ挑戦しよう、ということで今日は皆さんにご協力いただきました。 貴重なご意見ばかりで、勉強になりました。ありがとうございました!
この他、駐車場がよくわからない、どこが割引駐車券を発行してるかよくわからないという意見も出ました。これはとくに重要な問題なので、次回以降に特集を組んで改めてお伝えします。
座談会は喫茶テンプルで行いました
うおんたなインタビュー
林義治商店店主 永井義治さん
大正7年生まれ、86歳。魚の棚の穴子専門店『林喜』の次男として生まれ、県立明石中学校(現明石高校)を卒業後、兵役へ。終戦後、林義治商店を開店。昭和46年から明石市会議員を2期務めた。
終戦後のうおんたなを見つめ、 生きてきた歴史の証人
中国やインド洋・マンダバンで兵役を務めた永井さんは、28歳の時に終戦で明石へ戻った。「明石の駅へ降りたら町は焼け野原。港で船から火柱が上がっているのが見えた。銀座通りの西側では、衣類とか食料とかの闇市があったよ」。その後復興していく魚の棚では、『林喜』の穴子を仕入れに行く仕事をした。「朝3時に起きて自転車で港へ行き、たらいみたいな小さな舟で新浜(明石浦)へ買いに行く。その頃は漁師との直接取引で、目方を量って相談で値段を決めたもんや。生け簀の代わりに、かごに入れて海に一晩浸けておいてから、店へ持って行った」。
商店街の東端の一角にはまだ店があまりなく、その手前から西の端までが石畳、国道(2号線)へ出る北側の道もまだできていなかった。その頃の魚の棚には今のようにいろんな業種の店はなく、魚の卸売りか蒲鉾、天ぷら、塩干ものぐらいだったそうだ。「仲買人が多いから、家族も従業員もみんな店の2階に住み込んで、一緒にごはんを食べてた。朝は早かったし、活気があったなあ」。30年前に藤江の公設卸売市場ができてから、魚の棚は仲卸から小売へと変わり、朝の市もなくなった。店舗の2階に住むという、それまでは当たり前だった暮らし方も今ではほとんどなくなっている。
永井さんはその後独立し、林義治商店を構えた。サンマやアジを自分で開いて干物にして売ることから始め、塩干ものや魚の加工品を扱う店で、今も現役である。サンマは北海道や東北で水揚げされるが、現在、明石はサンマの開きの技術、加工量で日本トップクラスを誇る。その基礎を築いた1人が永井さんであったかもしれない。
こだわりお店めぐり
ソアラ
□喫茶・スナック
マスター・藤澤一正さん
①囲碁・将棋「店でお客さんと打つことも…」
②人が作ってくれたもの何でも(!)
③やっぱり日替わり弁当
気になる人の誕生日を調べて コーヒー飲みに行ってみよう!
昼はサイフォンコーヒーがおいしい喫茶店、17時以降はカラオケが歌えるアットホームなスナック。2階では15人までの宴会も可能で、冬は刺身と鍋で1人3000円(ドリンク別)が人気。ご主人・藤澤さんの一番の自慢は日替わり弁当(600円)だ。例えば取材の日なら主菜にグリルチキンかさんまの天ぷらを選べ、副菜には冬瓜の煮物、だし巻き、じゃこおろしなどが入って、栄養バランスも良さそう。すべて手作りの家庭的なおいしさで、毎日お昼はこのお弁当という人もいるらしい。毎日11時から20食限定、売り切れまで。
そしてもう一つの目玉は藤澤さんの占い(無料)。生年月日で性格と運勢がわかる「三命占星術」で、3時以降に忙しくなければ占ってくれる。実際に占ってもらったら性格を言い当てられてビックリ。気になる人の生年月日を持っていくと相性も教えてくれる。
白川南店
□海産・珍味
通販ショップあり
http://www.eonet.ne.jp/~uontana/
3代目・白川孫大さん
①スキー「子どもできてからはなかなか…」
②お好み焼き「じん粉、天かす入れて手作り」
③タコ天・イカナゴ釘煮
サクサク天ぷらで食べ歩き! 干しダコのタコ飯にも挑戦しよう
店頭で揚げている天ぷらがおいしそう!夕飯のおかずにはもちろん、食べ歩き用に少量ずつでも買える。大きなアナゴの一本揚げ(350円~)をアナゴ丼にするのもいいし、明石タコ天(100g3~4個450円)は塩が利いててビールのつまみに抜群。寿司ネタにも使われる上質のタコだから、カリッと揚がった衣の中は柔らかでジューシーだ。
電話注文やインターネットでの取り寄せも多い人気商品はイカナゴの釘煮(100g450円~)。特に小さな稚魚を使うので身が軟らかく、小さい子どもからお年寄りまで食べられる。
目を引くのは干しダコ。明石二見漁港で揚がったタコを、すぐに漁師さんが加工するから味が良いそう。「タコ飯にはこの干しダコが最高!」と白川さん。作り方のコツを教えてくれるからお店で聞いてみよう!
ドラッグイエロー明石店
□薬局
スタッフ・原由香さん
①ショッピング
②ハンバーグ
③イサゴール「調子が悪いと飲むようにしてます」
スタッフはみんなスリム! 健康的なダイエットをサポート
体重計に乗るのが怖い人。忙しさのせい、人のせいにしてダイエットを諦めている人。ここしっかり読んで!ダイエットの第一歩はまず現実を客観的に捉え、生活を見直すこと。ダイエットのサポートに特に力を入れている同店には、「体成分分析器」がある。裸足で上に乗り、ハンドルを握ると体重、体脂肪はもちろん水分量、筋肉量など体の組成を調べてくれるのだ。「バランスの良い食事、運動を心がけて、10日に一度ぐらい体成分をチェックしながら2~3ヶ月がんばれば、必ず成果が出ますよ」と話すのは代表の長岡さん。
何とこのお店のスタッフにも、ここで働き始めてダイエットに成功した人が何人もいるというから、説得力がある。便秘や冷え性など、痩せにくい体質はそれぞれの症状に合った食品やサプリメントで改善するなど、適切なアドバイスがもらえるのも安心だ。この機会にチャレンジしてみては?
大阪屋
□昆布・佃煮
店長・廣田義昭さん
①映画・美術展鑑賞
②パン「バタートーストとか味つけパン大好き」
③イカナゴの釘煮「ちょっと甘口でおいしい」
助六の大きな看板、どうして? 明石なのに「大阪屋」の謎も解明!
先代が銀座通りで戦後の闇市に店を構えたのが昭和19年。なぜ明石なのに大阪屋かというと、大阪の昆布屋で丁稚奉公していた頃に、東京でその支店を開いた時の屋号が残っているのだとか。また、店の上に掲げた大きな助六の看板も目立っているが、これは先代が大の歌舞伎ファンだったから。中でもお気に入りの「助六所縁江戸桜」を商標にしたのだそうだ。
昆布を中心とした佃煮「海峡煮」が100g300円~、約50種類と多彩に揃っている。松茸たっぷりの海峡松茸や、コリコリの食感がおいしいしめじしぐれなどが人気だ。
こんなのを新米のごはんに添えたらモリモリ食べちゃいそう。
最近は合成保存料などを気にするお客さんが増えたからと、無添加の佃煮昆布もいくつか用意してある。贈り物にこんな商品を選べば、きっと思いやりが伝わるに違いない。
レディースショップAKASHIYA
□婦人服・毛糸
オーナー・井上みき子さん
①編み物、食べ歩き
②寿司
③ニット商品
ニットオーダーのフェアで 長く着られる自分だけの一着を
ジオン、ロマン、吉忠、ボブといったミセスブランドの婦人服と、ダイヤやカネボウの毛糸を扱う店。「お客さんは50歳以上が多いけど、みんなうちの服を着たら色使いやデザイン、シルエットで10歳は下に見えるわね。だんだん若く、元気になっていくのよ」と話すのはオーナーの井上さん。特に毎年春と秋の2回開いている“オリジナルニットフェア”のニットオーダーは熱烈なファンが多い。
特別に招くデザイナーに直接相談をしながら、イタリア産の糸とボタンを選び、思い通りのデザインを作ることができる。価格は単品で7~10万円、ツーピースで13~26万円。「肩が落ちたりラインが崩れることもなく、何年前のでもお直しだってできる。安くはないけど絶対価値はありますよ」と井上さん自身も大のお気に入りだ。次回開催は春だが、興味ある人は一度訪ねて相談しておくといい。
本神戸肉 森谷商店 明石支店
□精肉
店長・吉井修さん
①海釣り「魚住、二見によく行く」
②寿司
③しゃぶしゃぶ「ポン酢であっさり食べるのが最高」
一度食べたら他のは食べられない! 神戸牛専門店の揚げたてコロッケ
神戸・元町に本店がある神戸ビーフ専門店。明治6年の創業当時は、神戸に着く外国船の糧食を調達する会社だったが、その後神戸牛を販売するようになり、現在は県内に牧場を6カ所所有、生産から加工、販売まですべて自社で行う。「神戸肉流通推進協議会」加盟店でもあり、品質保証された正真正銘の神戸ビーフである。美しい霜降りの肉は軟らかく、但馬牛独特の甘みが特徴。しゃぶしゃぶにすると味の違いがよくわかる。また、その神戸牛が入ったコロッケ(70円)は、サクサクの衣の中にトロッと軟らかなポテト、噛むほどに牛すじの歯応えと肉の旨みが広がる。
独自でブレンドする揚げ油のおかげでコクが加わり、お店の人も「ここのを食べたら他のは食べられないのよ」とイチオシ。ほかにもミンチカツ(100円)やビーフカツ(350円)などお惣菜が揃っている。
うおんたな自慢の素材を使った家庭料理にチャレンジ!
うおんたなのお母ちゃんレシピ
明石タコづくし3品
刺身・吸盤湯引き・天ぷら
①まず新鮮な明石ダコを用意し、頭と足に分ける。頭は裏返して内臓を取っておく。
②足を好みの本数使う。1本ずつにばらした足は、たてに筋を1本入れ、皮を引っ張りながら身と皮の間に包丁を入れて、皮をすべて剥く。あとは食べやすいよう、斜めに包丁を入れてなるべく薄いそぎ切りにする。まな板に吸盤を貼り付けてさばくとやりやすい。剥いた皮は吸盤の湯引きに使うので取っておく。
③刺身にした足の皮、残りの足(ばらしたもの)、頭をざるに入れて、塩一つかみを加え、表面のぬめりをザッともんで洗い流す。ここでもみすぎると硬くなるので、適度に。
④鍋に湯を沸かし、③を入れてさっと火を通す。しゃぶしゃぶの要領で、皮に軽く赤みがさす程度で引き上げる。中まで火を通さなくて良い。
⑤皮から吸盤部分を切り取って食べやすい大きさに切る。
⑥足と頭はそぎ切りにして、好みの天ぷら衣を作ってタコにまぶし、170℃の油で揚げる。表面がカラッとなる程度で良い。
お母ちゃんの極意
●刺身はしょうが醤油やわさび醤油で、吸盤はポン酢に大根おろしと青ねぎがおすすめ。天ぷらは天つゆをつけず、そのままでタコの味を楽しんで!衣に塩味をつけておくとおつまみにもピッタリ。
●家族が少なくて一度に食べられないという場合、頭と足それぞれをバラバラにして、塩もみし、洗ったところで小分けで冷凍しておくと便利。解凍してゆでて、タコ酢や天ぷらに。
今回教えてくれたお母ちゃんは…
鮮魚店の2Fでとれとれ明石の昼網料理を食べさせてくれる『きっちん魚兵』の女将さん、長谷政代さんでした。(きっちん魚兵)
こんなんあんねん!うおんたな
このコーナーでは「えーっ魚の棚にこんな店あったん?」という、知る人ぞ知るお店をご紹介します。
ベニや洋装店(音寺しをりの店)
婦人服・服地・ソーイング用品
DATA
本町1-1-17
TEL 911-2286
営業 10:00~17:00 定休日 なし
一見普通の婦人服の店…と思ったら、赤や黄色、ラメ入りなど派手なドレスがズラッと並んでいる。実はこれ、ステージ衣装。「ダンスやカラオケの発表会には何度も同じものが着られないでしょう。うちでは上下それぞれ4000円前後と手頃だから、大阪や姫路から来て一度に十着もまとめ買いする人もいますよ」と話すのはオーナーの小寺益江さん。店内にはその娘で、ムード歌謡歌手として活躍している音寺しをりさんの写真がたくさん飾られている。その関係で芸能関係の人も時々訪れるそうだ。
もちろん普通のおしゃれ着も扱っている。サイズが9~17号までと幅広く、色鮮やかでパッと目を引くデザインが多い。小寺さんが週1回大阪の問屋を十軒ほど巡り、気に入ったものを少量ずつ仕入れている。「大きなサイズでおしゃれなものが揃うのは珍しい」と喜ばれているそうだ。